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法人の税務調査のポイント・注意点(法人税・消費税)

Q役員報酬は税務調査で最もチェックされる項目だと聞きましたが、どのような点に注意すればよいでしょうか ~パート1

A

まずは役員報酬についての基本的な考え方からお話しします。

中小企業では株主と役員が同一になります。法人税法では、同族会社と定義されていますが、大手企業ならあり得ない、支配と経営が分離されていない状態がおこります。

役員に報酬を支払う場合は、株主総会で支給総額の決議を取らなければなりません。とった支給総額の決議の枠内で、取締役会を開催し個々の役員報酬額を決め、役員報酬を支払うというのが会社のルールです。

枠内を超えて支払った場合、会社法に抵触し、大手企業なら、とんでもないペナルティーが課せられます。中小企業の場合、会社法的なペナルティーは回避できるかもしれませんが、税務リスクは、回避できません。

決めた枠内を超えて支給してしまった場合、超えて支給した金額が損金の額に算入されないことになるからです。

支給限度額を株主総会議事録で残し、そのうえで取締役会議事録で支給限度額の枠内で各役員に支給されているかを、しっかりチェックしてください。中小企業、特に同族会社では注意すべき論点です。

このことを、法人税法では不相当に高額の部分の金額と定義しています。

 

不当に高額の部分の金額としてもうひとつ、週に1度しか来ない社長の奥様に高額な役員給与を支払っている場合も当然リスクになります。

次に支配と経営が分離されていない同族会社で起こりやすいことですが、利益が出そうだから役員給与を増やす。逆に、利益が少ないので役員給与を減らすということを原則的に認めていません。

いわゆる定額同額給与といわれているものですが、役員報酬を利益操作に使えないようにしているわけです。基本的に変えるチャンスは定時株主総会直後のみと考えてください。

役員に賞与を支給したいと考えた場合、定時株主総会から1ヶ月以内に事前に支給する賞与を届出書で、税務署に届ける必要があります。届出額どおりに支給すれば、損金の額になりますが、届出額より多かった場合や、少なかった場合(少なかった場合、救いの道がないわけではありませんが…)、当然、損金の額になりません。いわゆる事前確定届出給与といわれているものですが、ここにも、期の途中での利益操作には使えないようになっている点に注意してください。

 

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従業員の給料(法人の税務調査)

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Q役員報酬は税務調査で最もチェックされる項目だと聞きましたが、どのような点に注意すればよいでしょうか ~パート2

A

次に、注意したい点として経済的利益が給与に含まれることです。

経済的利益とはたとえば、次のようなものをいいます。

①    役員に対しての貸付金を免除した場合
会計的には貸倒損失かもしれませんが役員給与と認定されます。

②    役員に対しての貸付金に利息を取らなかった場合
通常とるべき利息相当額が役員給与と認定されます。

③    役員に対して資産の時価より安く、帳簿価格で譲渡した場合
本来の時価と帳簿価格の差額は役員給与と認定されます。

④    役員が負担すべき費用を法人が負担していた場合
この費用は役員賞与と認定されます。

 

役員賞与と税務調査で認定されれば、損金の額にならないだけではなく、給与には源泉徴収が必要になるため、源泉徴収不足分の精算も必要です。不納付加算税等も徴収され、会社としては大きな痛手になるばかりか、役員自身の所得税の精算も生じますから、役員自身も痛手をこうむることになります。役員給与と認定されるリスクの大きさをしっかり認識すべきです。

 

同族会社では、株主が怖いという概念もありません。株主代表訴訟も基本的には生じません。

会社をつくったのは、自分だから会社の金も自分の金だと思う感覚も理解できないわけではありません。むしろ自然な発想かもしれません。

しかし、少なくとも会社を作った以上、最低限の会社法等の法律を知っている方が、適正な経営につながるのも事実です。そのためには、個人のものと会社のものは、しっかり区別できることが第一歩です。これが適正にできれば、会社の資金蓄積も適正に行われ、会社自身が力を身につけはじめ、しっかり独り立ちして強い会社になっていくのです。

 

 

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税務調査で重加算税

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Q役員給与は税務調査で最もチェックされる項目だと聞きましたが、どのような点に注意すればよいでしょうか ~パート3

A

次に役員に関連して「みなし役員」についてお話しします。

株式会社の役員は登記事項です。登記されれば当然、公示されることになります。ところが、法人税法では、登記されていなくても経営に従事していれば、みなし役員という規定を用意しています。

 

役員給与については細かい規定が多く、そのためにあえて使用人になり租税回避を行う意図もあるかもしれません。会社を設立して、燃えている社長たちが、使用人のふりをしなさいといわれても、対外的な取引を考え、納得する方はほとんどいないはずです。

 

では、なぜこのような規定を作ったのでしょうか。

たとえば、仮に役員が不祥事を起こした場合、株主が怖い大手企業なら、その役員は解任させられますが、同族会社であれば自分が作った会社ですから、会社に居座ることは可能です。

ただし、刑事罰を受けてしまった場合、役員登記は外さなければなりません。役員登記が再登記できるまでの間、法的な肩書はないものの会社内では当然社長と呼ばれ、事実上会社の中心人物として存在していくことになります。

このようなケースに法人税法では実質に着目し、「みなし役員」として役員給与の規定を適用していくのです。

また、土地を売却し多額の利益が生まれた。または、大量の保険金が入り多額の利益が生まれた。などという場合に、代表者を辞任させ、退職金を支払うという形で、利益を圧縮するという安易な租税回避も要注意です。当然、税務もこの点は織り込み済みです。

確かに会計的には、利益に見合う退職金を支給したならば利益の圧縮はできます。

しかし、その代表者がその後も会社の中心人物として居座り、「みなし役員」と認定されてしまった場合、支払った退職金が賞与と認定されてしまう可能性があります。

定期同額給与、事前確定届出給与に該当はしないため、支払った金額が損金の額に算入できません。

 

何年も経営に従事してきて、後継者も育ち、利益が出たことを、きっかけに、後継者に後をゆだねるという判断のもと行われていて、株主総会の議事を通し、しっかり金銭を支払っているならば問題にはなりません。

一時的な租税回避のために、対外的に大切な経営職を辞任し、こそこそ経営に携わるぐらいなら、上記理由で生じた利益を、社長自身が磨いてきた経営感覚とシンクロさせ、会社をより大きく発展させることへの関心に向ける方が大切です。

 

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