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印紙税の税務調査について解説します。
印紙税とは、経済的取引などに関連して作成される文書に課税される税金のことをいいます。
印紙税の納税義務者は、一定の課税物件に対し印紙税法に定める課税標準と税率を基に納付しなければならないことになっています。
つまり印紙税とは、契約書・受取所などの証明のために課税される税金で、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって印紙税額が定められています。
印紙税の税務調査は、通常は法人税や所得税の税務調査のときに同時に行われます。
法人税や所得税の調査の過程で、契約書などの文書を提示しますが、そのとき実は「印紙の貼り忘れがないかどうか」もチェックしているのです。その契約書が課税文書に該当するかどうか、課税文書に該当する場合には適正な金額が貼り付けられ、消印されているかどうかがチェックされます。
また、印紙の管理簿の受払い記録と実際に貼り付けられている印紙の枚数が整合しているかもチェックします。
この印紙税を納付しなかったときは、納付しなかった印紙税の額の3倍(収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出たときは1.1倍)の過怠税が課されます。この過怠税は、法人税の損金や所得税の必要経費に算入することができません。
印紙税があまり発生しない会社ではついでに調査される程度ですが、建設会社や不動産業者など日常で契約書の作成が多く発生する業種では、時間をかけてじっくりと調査されます。
また、飲食業や小売業などであれば、お客さんに対して発行したレシートの控えのロールをめくりながら、印紙税の課税対象となる3万円以上のレシートの控えがどれだけあるかを調べます。そしてあるべき印紙税の金額と会計帳簿の金額に差があれば、印紙税の不納付があったと推計されることもあります。
印紙税は書類の内容によって課税されたり、非課税であったり、一つ一つ判断する必要があります。税務調査の通知を受けたときは、契約書類などに印紙の貼り忘れがないかどうかを事前に確認しておきましょう。
なお、税務調査で印紙が貼られていないことを指摘されたとき、印紙の額の3倍の過怠税が取られることになりそうですが、「印紙税不納事実申出書」を提出して1.1倍で済まされるケースもあるようです。
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源泉所得税の税務調査同様、様々な理由で指摘を受けることにはなりますが、その中でも比較的指摘を受けやすい項目を挙げておきます。以下を参考に自社において該当するものがないかを確認しましょう。
① 記載金額は税抜か税込か
② 課税文書かどうか
③ 契約書の写し
④ 予約契約書、仮契約書は印紙が必要か
⑤ 覚書に印紙を貼っていなかった場合
⑥ 電子データで作成した文書の印紙税
⑦ 印紙に消印をしなかった場合
⑧ 誤って印紙を貼った場合
⑨ 印紙が不要であるのに貼ってしまった場合
① 記載金額は税抜か税込か
契約書や領収書などは記載金額によって印紙税の金額が異なります。このとき、消費税額等が区分記載されている場合や税込価格か税抜価格が記載されていることにより消費税額等が明らかになっている場合には、消費税等は記載金額に含めなくてもよいこととなっています。
ここでポイントは、消費税額等が金額で明らかになっていることです。単に「消費税等込み」や「消費税等(8%)込み」と記載されているだけでは、区分記載されていることにはならず、消費税等を含めた金額が契約書の記載金額になってしまいますので、注意してください。
たとえば、請負に関する契約書の場合「108万円(消費税8万円)を含む」と金額が記載されていれば、100万円以下のものに該当し200円の印紙税となりますが、「108万円(税込)」と記載されているだけであれば、108万円が課税標準となり、100万円を超え200万円以下のものとして400円の印紙税が必要となります。
② 課税文書かどうか
印紙税が必要な課税文書は、税法で定められています。だからといって、その名称を使わなければ課税されないという訳ではありません。課税文書にあたるかどうかは文書の名称ではなく、その文書に記載されている内容を実質的に判断します。
契約書という名称をもちいなくても、文書の内容が実際には契約書と同じであれば、契約書として課税文書になります。
また、文書に取引金額が直接記載されていなくても、単価、数量等が記載されていることにより取引金額が計算できるのであれば、それを記載金額として課税されることとなります。売掛金の請求書は課税文書ではありませんが、その中に「代金を受領しました」という内容が書かれてあれば、売上代金の受領書に該当し課税されることとなるのです。
③ 契約書の写し
契約書の写し、副本、謄本などであっても、おおむね次のような形態のものは、契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかであるため、印紙税の課税対象となります。
l {C}契約当事者の双方または文書の所持者以外の一方の署名または押印があるもの
l {C}「正本と相違ありません」といった契約当事者の証明のあるもの
なお、契約書の原本を単にコピーしただけのもので、当事者の署名や押印、証明のないものは、単なる写しとして、課税対象にはなりません。
④ 予約契約書、仮契約書は印紙が必要か
印紙税は、文書を作成する都度課税される税金です。たとえ予約契約や仮契約と本契約の2度にわたって契約書が作成されている場合でも、それぞれの契約書に印紙税が課税されます。
予約契約書は、協定書や覚書といった名称で作成されることもありますが、その名称にかかわらず、契約書の内容によって印紙税の課税文書となります。
⑤ 覚書に印紙を貼っていなかった場合
たとえ覚書であっても、印紙税が必要な課税文書にあたる場合があります。
たとえば、契約金額を変更した場合など重要な契約内容の変更が行われたときは、課税文書になります。
⑥ 電子データで作成した文書の印紙税
印紙税は紙媒体で交換される文書に対して課税されることとなっています。そのため、印紙税が課される文書と同じ内容のものであっても、電子データで作成する限りは、印紙税は課税されません。
⑦ 印紙に消印をしなかった場合
契約書などに印紙を貼った場合には消印をしなければなりません。貼り付けしているけれども消印をしていない場合は、納付していないことと同じ扱いとなってしまいます。
なお、契約書のように複数の人が共同で作成した文書に貼った印紙は、その作成者のうちの1人が消印をすればよいこととなっています。たとえば、甲乙間で締結した契約書であれば、甲か乙のどちらか1人が消印すれば問題ありません。
⑧ 誤って印紙を貼った場合
印紙を貼る必要がない文書に誤って収入印紙を貼った場合や、定められた金額より大きな金額の収入印紙を文書に貼った場合は、過誤納金として還付を受けることができます。
印紙税の還付を受けるときは、印紙税が過誤納となっている文書と印鑑(法人の場合は代表者印)を所轄税務署に持参し、税務署に用意してある「印紙税過誤納確認申請書」に必要な事項を記入のうえ、提出します。そして、税務署長が、印紙税の過誤納の事実を確認したのちに還付されることとなります。還付される税金は、郵便局や銀行を通じて送金されることとなるので、還付金を受け付けるまでに若干の日数がかかります。
⑨ 印紙が不要であるのに貼ってしまった場合
売掛金と買掛金を相殺したときに領収書を作成することがあります。この場合、実際には金銭の受領の事実はないため、領収書は、印紙税法上の受取書には該当せず、収入印紙を貼る必要はありません。ただし、相殺であることが文書上明らかにしておく必要があります。
また、クレジットカードで買い物したお客様に領収書を交付することがあります。クレジットカード払いのときは、金銭の受領の事実はないため、この領収書は、印紙税法上の受領書には該当しません。クレジットカード利用である旨を表示しておけば、収入印紙を貼る必要はありません。
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