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一人事業者は福利厚生費はゼロですのでご注意ください
個人事業主は、基本的に年商2,000万とか大きくても年商5,000万ぐらいの規模が小さい事業者が多いと思います。規模が小さいと従業員も少なく場合によっては、従業員全員が家族という場合もあると思います。そうなりますと、どうしても福利厚生費の取り扱いが税務調査においては調査の重要ポイントして検査されるのは想像できると思います。
税務調査の福利厚生費のポイントは「事業所得を生むために生じた費用」かどうかです。つまりいわゆる家事費(プライベート部分の支出)は、経費にならず税務調査で指摘されることとなります。家事関連費(自宅兼店舗の家賃や電気代など事業とプライベートが混在している)についても同様です。
もうひとつ福利厚生費のポイントは従業員全員に平等に支出されているかということです。毎回特定の従業員だけ、家族従業員だけの支出は福利厚生費として認められませんのでご注意ください。
また事業所得の経費ではあるが、給与であるという判断がされることもあります。
ちなみに、一人で個人事業をやっており従業員が一人もいない場合は、福利厚生という考え方はないので、決算書の福利厚生費の科目はゼロでなければおかしいのでご注意ください。福利厚生は、あくまでも従業員のために支出した経費であり、個人事業主が一人でランチを食べた場合などは当然に経費にできません。
個人事業主の福利厚生費(食事代)はこちら
Q 私は、園芸を営む青色申告者です。このたび、使用人4名と専従者である妻と私の計6名で温泉と観光で2泊3日の慰安旅行を行い、この旅行費用として合計24万円を支出しました。
この場合、専従者である妻と私の分の費用は必要経費として認められますか。
また、来年は開業15年になりますから、3泊4日程度の海外(グアムか韓国)への慰安旅行を考えていますが、この場合は、どうでしょうか。
A 専従者である妻の分は必要経費となり、あなたの分は旅行に参加することが必要であり、必要経費として差し支えありません。海外旅行であっても、原則として、同様に取り扱われます。
1、リクリエーションに係る支出の取扱い
使用者が役員または使用人(以下「従業員等」といいます。)のリクリエーションのために、社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の費用は、次のように取り扱われます。
(1)従業員等にかかる費用は、使用者においては福利厚生費として必要経費になり、従業員等に課税されることもありません。ただし、事業主の業務の必要に基づく不参加者の以外の不参加者に対し参加に代えて金銭を支給する場合は、すべての従業員等について、その支給額に相当する給与の支払いがあったものとして取り扱われます。
(2)事業専従者の場合は、一般の従業員等と同様のリクリエーションを行う場合は、上記(1)の従業員等の場合と同様に取り扱って差し支えないと考えられます。
上記(1)のただし書きに該当し、事業専従者に対して給与の支払いがあったものとさせる場合は、①青色申告をしているときは、専従者給与の届出額を超える場合を除き専従者給与の額に算入されますが、②青色申告以外のときは、授業専従者への給与として必要経費とは認められません(所法56条)。
(3)事業主の場合は、旅行等に参加することが従業員等の監督や旅行等の円滑な実施のために必要であると認められる場合は、その旅行等に通常必要とされる金額は必要経費に算入することとして差し支えありません。
なお、一般の従業員等を含まない、事業主と事業専従者だけで旅行等した場合は、その旅行等は単なる家族旅行などとしての性格が強く、事業に係るものとは認めがたいことから、家事費として取り扱われますから、必要経費に算入することはできません。
2 慰安旅行の取扱い
慰安旅行については、その旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者および参加従業員等の負担額および負担割合などを総合的に勘案して実態に即した処理を行うこととするが、次のいずれもの要件を満たしている場合には、原則として、使用者の必要経費として差し支えないとされます。
(1)その旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数による。)以内のものであること。
(2)その旅行に参加する従業員等の数は全従業員等の50%以上であること。
(3)結論
あなたの妻の分は、従業員と同一条件であるならば、必要経費に算入でき、専従者給与額に加算されることはありません。
あなたの分は、従業員の引率・監督等のため旅行に参加することが必要と考えられますから、あなたの所得の計算上、必要経費に算入できます。
予定している海外慰安旅行については、現在計画している程度のものであれば、実施した年の必要経費に算入できます。
<参考となる法令等>
所法36条、45条、56条、57条
所基通36-30
昭63・5・25直法6-9
<参考となる判例>
○事業所得者が専従者である妻と未成年の子2人の合計4人で子供の夏休み期間中に観光地を旅行したというものであるから、事業主において専従者である妻を慰安するという趣旨で企画実行したものであっても、客観的には生計を一にする夫婦、親子がその良好な家族関係を維持発展すべく企画実行したものであり、従業員の勤労意欲を高め、もって自己の事業に資するためといった経済的合理性に基づき、使用者としての立場から主催したものとは言えない。換言すれば、サラリーマンの家族が行ういわゆる家族旅行と異なるものではないとして、当該旅行費用の必要経費算入を認めなかった例。(名古屋地判平5・11・19税資199・819)
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