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まず知っておいてほしいことは、法人税法が規定する交際費の範囲は一般的な感覚よりかなり広いということです。
たとえば、接待交際を行った帰りのタクシー代は通常感覚なら旅費交通費になるかもしれませんが、法人税法上は接待交際に起因するものはすべて交際費として認識していく必要があります。
また、接待の相手は基本、得意先になるかもしれませんが、直接事業に取引関係のある者のみではなく、利害に関係がある者および役員、従業員、株主等も含まれます。
交際費からのぞかれるものとして、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいなどが、規定に列挙されています。ここを、ただ安いものなら大丈夫と安易に感じてはいけません。ここに列挙されているものは、会社の名前を印字できるものなのです。いうなれば、広告宣伝費なら少額物品の贈答費用を交際費から除いても構わないというものです。会社名を印字できないものは、対象にならないと考えた方が安全でしょう。
また、交際費から除かれるものとして、1人あたり5,000円以下の飲食費があります。この適用を受けるためには、次の事項を記載した書類を保存しておく必要があります。なお、社内のみの社内飲食には、この特例はないことも注意してください。
① その飲食等のあった年月日
② その飲食に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名または名称及びその関係
③ その飲食等に参加した者の数
④ その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称およびその所在地
⑤ その他参考となるべき事項
広告宣伝費と交際費の違いも税務調査ではよく問題になります。接待や供応や贈答が、一般消費者であれば広告宣伝費に、一般消費者でなければ交際費になります。
一般消費者にはあたらないものとして
① 医薬品の製造業者(販売業者を含む)……医師または病院
② 化粧品の製造業者……美容業者または理容業者
③ 建築材料の製造業者……大工、左官等の建築業者
④ 飼料、肥料等の農業用資材の製造業者……農家
⑤ 機械または工具の製造業者……鉄工業者等
が規定されています。現状、取引先でなくても、自社の製品の購入可能性がある業者に対しては、広告宣伝費にならないと考えるべきでしょう。
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割戻として処理しても交際費と認定される場合があります。大手企業ならば、得意先である事業者に対して、しっかりとした基準を持って売上割戻しを金銭で実施しています。
得意先である事業者は、仕入割戻しの処理を行い費用のマイナス処理を実施するということをしっかり認識してください。事業者でない相手に、何の基準も持たず売上割戻しを実施したり、金銭でなく、相手に仕訳のおこらない旅行接待をした場合には、交際費に該当してしまいます。
情報提供料と処理しても交際費と認定される場合があります。高度情報化時代ですから、情報サービス業に支払う情報提供料が問題になることはありませんが、情報提供を業としていない個人に情報提供料を支払った場合、交際費になると考えた方がよいでしょう。
しかし、下記の要件を満たせば交際費になりません。
その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること
提供をける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務提供を受けていること
その交付した金品の価格がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること
事業者ではない、個人と確実に契約を結ぶことは事実上難しいかもしれません。また、情報提供料というよりか、紹介料という形でチップのような位置づけのものは、情報提供料にならないと考えるべきです。
従業員への支出も交際費の対象になることがあります。また、交際費よりさらに厳しい給与課税の対象になることもあります。
創立記念日に際し、従業員におおむね一律に社内において、供与される通常の飲食に要する費用は福利厚生費になります。慶弔、禍福に際し、一特定の従業員のみを対象にしたものや、福利厚生費規定や慶弔禍福規定がない場合、交際費と認定されることになります。
常時給付される昼食等の費用や会社の業務のために使用したことが明らかでない費用などは、福利厚生費にならないのはいうまでもなく、交際費よりさらに厳しい給与課税の対象になってしまうので注意が必要です。
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